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研究内容


近赤外分光法を利用した微量水溶液の温度イメージング

ガラスやプラスチックで挟まれた厚さが1mm以下の微量な水溶液の温度を測ることはとても難しく、まして、2次元画像を得ることはこれまで不可能でした。温度画像を撮る方法としては赤外放射測定(サーモグラフィ)がよく知られていますが、得られる情報は表面温度であり、内部にある水溶液の情報はほとんど得られません。さらに、赤外放射測定は物体からの自己放射を測定しますので、サイズが小さくなると受光強度がその分小さくなってしまい、検出限界を下回ってしまいます。本研究では、赤外放射測定と全く異なる原理の、近赤外分光法を応用した技術を開発し、水溶液の温度画像を得ることに成功しました。応用研究として、マイクロ化学チップ内の化学反応測定、癌細胞の温熱治療のin vitroモニタリング、褐色脂肪細胞の発熱応答測定などに取り組んでいます。
(右図:直径50μmの金属線の発熱により、周囲の水の温度上昇を捉えた画像。)

キーワード:水溶液、温度、近赤外分光、イメージング


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薄膜水溶液の赤外スペクトルの温度依存性に関する研究

水溶液試料の成分種、濃度、含水率、もしくは温度を測定する方法として、赤外分光法があります。その中で、マイクロチップやマイクロキャピラリを用いた分析や、細胞レベルでの分析、すなわち厚さ1〜100μmの薄い試料の測定が今後さらに重要になると思われます。水は中赤外域(波長約2500〜5000nm)で吸収が大きいため、分光分析では全反射減衰(ATR)法が用いられることが一般的ですが、厚さと波長によっては、透過測定も可能です。本研究では、両方法を比較しながら、将来的なイメージングと、既存のマイクロチップをそのまま測定できる簡便さから、主に透過測定の可能性に注目してきました。先ず、近赤外(波長約800〜2500nm)および中赤外の水の吸収バンドの変化より、薄膜水溶液の温度変化を捉えました。さらに、その変化はバルクとしての水とは異なった性質が現れることも分かってきました。
(右図:厚さ10μm水の中赤外スペクトルの温度変化。)

キーワード:赤外分光、スペクトル、水、温度、マイクロチップ


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DLCコーティングした溶液射出型電極の作製と評価

極微量な溶液を射出できる内径1μm以下の先端穴をもつ針型電極を作製しています。これを細胞へ刺入もしくは密着させ、 細胞内への物質注入と、細胞膜の電位・電流測定を同時に行います。ただし、生体内もしくは液中測定では、電極は外部と電気絶縁されている必要がありますので、ここでは、水素含有アモルファスカーボン(Diamond-like carbon; DLCと呼ばれます)を絶縁材料としてプラズマCVD法によりコーティングしました。DLCは、面全体に均質で厚膜化しやすく、成膜条件によって硬さなどの膜質を比較的制御しやすいという利点があります。先端部はDLC膜を除去して金属部と開口部を露出させる必要がありますが、露出面積を調整できる独自の剥離技術も開発しました。さらに、DLC膜により電極に高強度化が付加されたため、細胞生理学研究以外にも、例えば、質量分析装置における試料のイオン化に使われるエミッターとしての用途も期待されています。
(右図:電極先端部の走査顕微鏡画像。先端径1μm。下半分にDLC膜。)

キーワード:微小電極、Diamond-like carbon、電気絶縁


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微小針型電極による細胞の電位・熱測定

細胞では様々な膜輸送や生化学反応が起きています。外部からの薬剤による刺激、もしくは光や電気による刺激によって特異的な反応を示す細胞もあります。反応の多くは、電気的もしくは熱的な変化を伴うため、これらの変化を計測できれば、細胞生理の解明や医療への貢献が期待されます。本研究では、単一の細胞に刺入もしくは密着させることができる微小針型電極を用いて、薬剤注入と併行して電位測定を実施しています。従来のパッチクランプ法と異なり、電極内液を必要とせず簡便に電位測定でき、ピペット中空部を活用した操作と測定が可能です。さらに、電極を改良することで温度センサとし、熱測定も行っています。
(右図:細胞に密着させた微小針型電極の顕微鏡画像。)

キーワード:細胞、マイクロピペット、電位測定、インジェクション

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細胞内の水・氷・ガラス化の判別を目指した分光イメージング



キーワード:水、氷、ガラス化、分光イメージング、細胞

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イオンビームの大気取り出しと生体応用



キーワード:イオンビーム、大気、生体

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2008年6月4日 更新