複雑系数理部門


 構成メンバー

部門長 小田垣 孝(九州大学・理学研究院・教授)
中西 秀(九州大学・理学研究院・教授)
吉森 明(九州大学・理学研究院・助教授)
原 一広(九州大学・工学研究院・助教授)
早瀬 友美乃(九州大学・理学研究院・助手)
  松井 淳(九州大学・理学研究院・助手)

 概要

複雑現象の基本となる数理的要素は、系が様々な時間・空間スケールを持ち、それらが階層的に構成されたことにあり、従来の物理学の枠組み、すなわち要素還元論的な観点からの記述が不可能であることにある。この部門の主力は、そのような現象を導く数理的構造を明らかにすることである。本部門の研究者は、これらの数理を対象として、これまでガラス化理論の構築や応答関数と確率論的表現の関係を厳密に証明し、新しく有効媒質近似法の提案などの成果を上げている。また実験的には高分子ゲルがガラスに類似した特徴をもつことを明らかにした。ここでは、これらをさらに進展させ、従来にはない空間・時間スケールにおけるダイナミックスを解析する理論的枠組みを構築し、それをベースに計算機実験を行い、様々な現象の理解を進める。これらは工業的応用も重要で、その法則が分かり基礎論が理解されることによって、応用範囲が格段に広がることが期待される(図2)。


図2.「経年良化」を実現する複雑科学


 研究ハイライト

部門長 大学院理学研究院 小田垣孝

研究者 大学院理学研究院 小田垣孝、吉森明、松井淳、中西秀、早瀬友美乃
      大学院工学研究院 原一広

物性物理学の最後のフロンテアである複雑現象は、系が様々な時間・空間スケールを持つことによって引き起こされるものであり、これまでの要素還元論に基づく従来の物理学では理解できないものである。自然界で起こる現象は、原子・分子、原子集合体、高分子、ゲル・液晶、タンパク質・DNA・脂質、微粒子・砂、脳細胞、人間など様々なレベルの構成物質の協力現象として発現する。この現象を理解するためには、出発点となるべきレベルを見いだし、そのレベルにおけるダイナミックスがいかに縮約されるかを明らかにする必要がある。複雑数理部門では、非平衡系、不規則系、溶液、粉流体、反応拡散系、高分子分散系、ゲル、社会現象など極めて多様な現象をとりあげ、現象を支配する数理構造を明らかにするとともに、計算機シミュレーション、実験との比較による実証を行っている。この分野の研究は、社会現象や経済現象も対象とするものであり、将来のさらなる発展が期待されるものである。当部門で行われている最近の多くの研究の中で、三つのものについて紹介する。他の成果の紹介は別の機会に譲る。

     ソフトマテリアル

     粉粒体の統計力学

     自然発生する階級制--勝ち組と負け組はなぜできるか


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